お城の歴史①|弥生時代のお城のつくり

野口
お城というと、あなたはどんなお城をイメージしますか?

まず思い浮かぶのは、広い水堀に囲まれて石垣の上にそびえる「天守」ではないでしょうか?
そうイメージしやすいのですが、必ずしもお城に天守がある必要はありません

「城」という文字の成り立ちから考えると、「城」は「土」と「成」という文字からできているように、土で形作られたもの・土が盛られてできた構造物が「城」という意味だと考えられます。

つまり「お城=天守」とは言い切れないのです。

お城を想像したときにイメージするような天守が登場するのは、お城の歴史の中ではごく最近のこと。
お城のカタチがイメージと重なるまでの歴史を知ることで「お城とは何か?」の謎を解き明かすことができます。

野口
お城の歴史は、お城めぐりをする上でとても重要なポイントです。弥生時代から順番に、丁寧に説明していきます。

環濠集落(かんごうしゅうらく)

「お城のはじまり」はいつでしょうか?
織田信長が安土城を築いたとき?
武士の棟梁の源頼朝が鎌倉幕府を開いたころ?

いえいえ。

城のはじまりは、弥生時代の「環濠集落」にさかのぼります。

お城とは、敵から身を守るために住居の周りに堀や柵などをめぐらしたものです。

自分の土地のまわりに濠(ほり)をめぐらせた「環濠集落」が、お城の先祖です。
環濠集落は、今から約2000年前の弥生時代中期から後期に数多くつくられました。

野口
佐賀県の吉野ヶ里遺跡が代表例です。吉野ヶ里では環濠集落の様子がわかるよう大規模に再現されていますよ。

城子さん
え! 遺跡がお城なの?!

城子さん
でも、どうしてこの時代に「お城」がつくられたんだろう??

弥生時代を想像するとき、まず頭に浮かぶのは、稲作文化でしょう。
稲作というと、ムラの人々が協力し合い農業にいそしむ……そんな穏やかでのどかなイメージがありますね。
けれど実は、その稲作文化の広がりによって、収穫物や耕作地の水利をめぐるムラ同士の争いが盛んになったのです

福岡県の「スダレ遺跡」では「石製の剣が刺さった人骨」が発見されています。
そんな出土品からも、この時代に武器を使うほどの激しい争いがあったことがわかります。

弥生時代は、稲作によって安定した暮らしがもたらされた反面、人々が利権のために傷つけ合う争いの時代でもありました。
このような争いからムラと収穫物である財産を守るために生まれた環濠集落が、お城のはじまりといわれています。

環濠集落の構造を説明しましょう。
まず、自分たちの土地を守るため「濠(ほり)」を掘ります。
この濠を「環濠」といいます。

濠を掘ることで土が出ます。
その土を濠のそばに山のように積み上げると塀のような「土塁」ができて、エリアを仕切って守ることができます。
「土へん」に「成る」という「城」の文字の成り立ちから考えても、環濠集落は立派な「お城」なのです。

身近な「環濠集落」を探してみよう

弥生時代が、お城のはじまりとは驚きです!
身近な場所に、お城のはじまりの環濠集落はないか探してみることにしましょう。

私の住む大阪府には、和泉市から泉大津市にかけて「池上曽根遺跡」という弥生時代中期の遺跡がありました。

この池上曽根遺跡。
明治時代に地元の中学生が石の鏃(やじり)を発見したことがはじまりです。
昭和になって繰り返された発掘調査によって、祭祀に使ったと思われる約80畳の広さの大型建物や、クスノキの大木をくりぬいた直径2mを超える井戸も発見されました。
池上曽根史跡公園では、これらをはじめとする建物がいくつも復元されています。

ここは、全周約1km・直径約330mのいびつな円形の環濠に囲まれていたそうで、公園の一角には環濠の一部が再現されています。
この環濠が、城であった証拠です。

野口
環濠集落に行ったなら、復元された建物群だけでなく、環濠のつくりに注目してみましょう。

まとめ

お城のはじまりは、弥生時代の環濠集落です。

耕作地の水の権利をめぐるムラ同士の争いから、自分たちの土地と財産を守るため、「環濠」でムラを取り囲み防御していました。

環濠のつくりは、弥生時代以降もお城づくりの要として後世に引き継がれます。

奈良県大和郡山市には、室町時代につくられたという「稗田(ひえだ)環濠集落」があります。

稗田環濠集落の環濠は、現在では用水路として利用され、その環濠の内側には民家が立ち並び集落が形成されています。
弥生時代に編み出された環濠の仕組みが人々に継承され、今でも活用されていると思うと感慨深いものがあります。

野口
あなたの身近な場所にも、環濠集落があるかもしれません。
「お城のはじまり」の遺跡に触れて、2000年の時を超えて受け継がれながら存在する、お城の奥深さを味わってみましょう。

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