石垣の知識はこれで十分!初心者が知るべき3つの種類

城子さん

え?このお城って天守がない!

そんな時ってどこを目指してどう楽しめばいいの?

大阪城
大阪城(大阪府)

天守のないお城では、こんなお悩みを感じる方も多いはず。

そんなときは、石垣に注目してみましょう!

石垣の3つの種類を知るだけで、お城の楽しさは倍増しますよ。

石垣には種類があります

石垣って、どれも同じと思っていませんか?

石垣の分類方法はいくつかあるのですが。

今回は、石の「加工の仕方」で分類した3種類を、歴史の古い順にご紹介します。

初心者なら、この3種類を知っていれば石垣の知識は十分です。

実際のお城の画像を参考に、加工の違いと技術の進歩を見てみましょう。

1.野面積み(のづらづみ)

岡山城
天守台下の石垣
城子さん

バランス悪く見えるのに、崩れてないなんて!すごい! 苔むしてて、歴史を感じるわ〜

野面積みは、文字通り、自然のままの石をあまり加工せずに積み上げたものです。

主に、鎌倉時代末期〜安土桃山時代に使われていました。

自然のままの石を組み合わせて積んでいくので、どうしても石と石の間に大きく隙間ができてしまい、敵に簡単に登られてしまうという弱点があります。

その反面、排水面で優れていて、大雨が降ってもその隙間から水が抜けるので崩れにくく丈夫です。

また、石同士が密着せずに「遊び」の隙間があるため、地震の揺れにも強いと言われます。

野面積みの石垣の高さは、低いもので1〜3m、近世城郭の場合の平均的な高さは5mほどでしょうか。

原始的と思われがちな石垣なので、あまり高く積むことはできないと言われますが、それほど低い訳ではありません。

岡山城には全国屈指の15m級の野面積みの石垣がありますよ。

野口

不安定にも見えるこの積み方は、実はとても高度な技術が必要なんです。

* 野面積みが見られるおすすめのお城:安土城・浜松城・岡山城

2.打ち込み接ぎ(うちこみはぎ)

打ち込み接ぎ
打ち込み接ぎの石垣

打ち込み接ぎは、石の表面や石が接する部分を打って打って、石同士の隙間が小さくなるよう加工したものです。

それでも隙間ができてしまうので、野面積みと同様に間詰石(まづめいし)で丁寧に隙間を埋めてつくられています。

表面も真っ平らではなくて、凹凸があります。

熊本城
熊本城(熊本県)
城子さん

わぁ〜すごい! 綺麗な曲線! こんなに急な反りで、敵を登りにくくしてたのね。

石垣の加工技術が進むことで、丸亀城や熊本城に見られる、扇のようなカーブを描く「扇の勾配(おうぎのこうばい)」の石垣も登場します。

また、高さ20〜30mの高石垣も作れるようになったりと、お城の防御機能はますます強化されました。

このタイプの石垣は、関ヶ原の戦い前後から盛んにつくられるようになりました。

野口

ちなみに「接ぎ」というのは「つなぎ合わせる・接合する」という意味だそうですよ。

* 打ち込み接ぎが見られるおすすめのお城:伊賀上野城・大阪城・丸亀城・熊本城

3.切り込み接ぎ(きりこみはぎ)

江戸城
江戸城(東京都)
城子さん

うそー! 機械も何もない時代に、こんな加工ができるの?! ありえない!

切り込み接ぎは、石を徹底的に加工して石同士の隙間をなくして密着させたものです。

表面も平らですし、隙間はほとんどありません。

これは江戸時代に入ってから広まった石垣のつくりです。

切り込み接ぎは、加工にとても手間がかかる石垣なので、お城すべてがこの加工方法でつくられたところはありません。

切り込み接ぎは門や天守台・石垣の角の部分(隅石(すみいし)と言います)など、美しく見せたい部分にポイント使いして、打ち込み接ぎと組み合わせて使われました。

江戸城
江戸城

「玄関は家の顔」であるように、お城にとっても門は「城の顔」です。

このように、切り込み接ぎがたっぷり使われた石垣が残っていたら、「ここは門があった場所かも」と思ってください。

野口

この知識を知っていると、お城の案内図を見なくても、石垣を見ただけで門の場所が分かるようになりますよ!

また、石の表面に「はつり」や「すだれ」という化粧加工を施して、デザイン性のある美しい石垣にしているところもあります。

はつり・すだれの化粧加工については別の記事でご紹介します。

加工技術の最終形である切り込み接ぎの石垣は「魅せる石垣」を意識した、まさに権力の象徴です。

* 切り込み接ぎが見られるおすすめのお城:江戸城・名古屋城・大阪城

イメージを膨らませて石垣を見てみよう

引田城
引田城(香川県)

お城を見る時に大切なポイントは、想像力です。

特に石垣を眺める時には、ぜひ想像力を発揮してください。

石垣の役割は「建物の基礎」と「お城の防御」です。

ということは、石垣がある場所が「何らかの建物があった場所」であることや「敵から守りたいポイント」だということが一目で分かります。

お城に何か建物が残っていたり、復元されていたら分かりやすいかもしれませんが、石垣だけのお城もたくさんあります。

石垣の役割を知ることで、石垣しかなくても「ここには建物があったかも……塀があったのかも……」と当時の情景をイメージすることができるのです。

石垣を見つけたら、あれこれ想像をめぐらせて、頭の中でお城のオリジナルCGを作って楽しんでみましょう。

城子さん

こんなに種類があるなんて知らなかったぁー。石垣ひとつでも見比べると技術の進歩が感じられるのね! すごい!

まとめ

いかがでしたか?

今回は、加工の仕方で分類した、石垣の3つの種類をご紹介しました。

  • 野面積み
  • 打ち込み接ぎ
  • 切り込み接ぎ

この3つを知っているだけで、お城初心者は卒業です!

石垣の加工度合いで、石垣を見ただけでも古いものか、新しいものかが分かるようになったはずです。

また、切り込み接ぎの石垣がある場所が、「門の跡だったかも?」と想像できるようにもなりましたね。

野口

「この石垣は、打ち込み接ぎだよ」と、次はあなたが教えてあげましょう!

では、また!

この記事を書いた人

お城カタリスト