石垣って面白い!
もっと見どころはありますか?
石垣に興味を持っていただけて嬉しいです!
前回の記事では、石垣の3種類の積み方をご紹介しました。
↓詳しくはこちらの記事をご覧ください↓
今回は、お城がもっと楽しくなる、石垣の見どころポイントを5つご紹介します!
見どころ1・算木積み(さんぎづみ)
算木積みとは、隅石、つまり石垣の角の部分の強度を高める積み方のことです。
長辺が短辺の2〜3倍ある細長い直方体の石を、長辺と短辺が互い違いになるように交互に積み上げていく構造をしています。
石の形が、そろばんが伝来する以前に計算に使われていた「算木」という棒に似ていることから、この名前がつけられました。
石垣は角の部分が非常に崩れやすいので、算木積みにすることで強度を増して石垣を丈夫にします。
長短の角の部分がきっちりそろった、算木積みの完成は、関ヶ原の戦いのあとの慶長15年(1605)と言われます。
上の大阪城の石垣は、算木積みのお手本のような、理想的な算木積みの構造です。
(算木積みの構造を示した図も、この大阪城の画像を加工したものです。)
この大阪城の石垣の積み方を覚えておいて、ほかのお城の隅石の部分と比較してみるといいでしょう。
算木積みの構造に注目してよく見てみると、そのお城が古いのか新しいものなのか、ざっくり知ることができますよ。
↓こちらの記事で詳しくご紹介しています↓
お城に行ったら、ぜひこの角度で写真を撮って、見比べてみましょう!
見どころ2・矢穴(やあな)
ん?この点線はなんだろう?
石切り場から石を切り出すときには、まず巨岩の割りたい線に沿ってノミで穴を開けます。
その穴を矢穴と言い、矢穴に鉄クサビ(矢)を打ち込んで叩くことで石を割ります。
上の画像は、姫路城の大手門付近のもので、点線部分が矢穴になります。
この画像の場合、割ろうと思っていた矢穴とは別のところが割れてしまったため、矢穴が使われずに残った状態です。
矢穴をきっかけに見事に割れると、この画像のように、歯型のように綺麗に並んだ矢穴を見ることができます。
ただし、これが見られるのも、矢穴が石垣の表面に出ている場合だけ。
石垣を積む過程でこの矢穴が内側になってしまっていたら、見ることはできません。
矢穴から、当時の作業の様子を垣間見ることができます。
そこには機械もない時代に、手作業で石を加工した人たちがいます。
人々の苦労の賜物が目の前の石垣だと思うと、感動もひとしおです。
当時の技術が垣間見れるこの矢穴跡が、私は大好きです。見つけるとワクワク嬉しくなります。
あなたも、お城のどこに矢穴があるか探してみませんか?
見どころ3・石垣の刻印(こくいん)
石垣の石に、何やら記号のようなマークが彫られているのを見たことはありませんか?
そう。それが、刻印です。
どうしてこんな印がついてるのかな?
刻印は、大名家の家紋や石工さんの目印、石の産地を表していると言われています。
特に「天下普請(てんかぶしん)」でつくられた大阪城や名古屋城などで、刻印を見ることができます。
天下普請とは、徳川家が諸大名に分担してひとつのお城をつくるよう命じた土木工事のこと。
天下普請については別の記事で詳しくご紹介します。
ひとつのお城を複数の大名家が作るのですから、現場は大混乱だったのではないでしょうか。
刻印は、そんな混乱を防ぐために大名家がつけた目印とも言われています。
こちらは大阪城の隠し曲輪にある石垣です。
ちょうど分担エリアの境目だったのか、ふたつの大名家の刻印が見えます。
とはいえ、天下普請のお城の全てに刻印があるわけではありません。
また、天下普請ではなくても、刻印があるお城もあります。それも石垣の面白いところです。
昔の人がつけたマークにどんな意味が込められているのかを想像しながら、ぜひ探してみてください!
◆ 刻印が見られるオススメのお城:名古屋城・大阪城・姫路城・和歌山城
見どころ4・鏡石(かがみいし)
大きい石! どうしてここにあるの??
天守台や門の近くの石垣には、驚くほど大きな石があることがあります。
これが、鏡石です。
石の表面が鏡のように平らなので、そう言うのだそう。
加工が面倒だから大きいまま積んでしまえ! 笑 と石垣に入れてしまったのではなく、意図的にその場所に配置しているのです。
その意図とは、ずばり権力の象徴!
「こんなに大きな石を運べるだけの権力も財力もあるんですよ」と、鏡石で威圧感を与えているのです。
こちらは大阪城の本丸にある「蛸石(たこいし)」という名の鏡石です。
その大きさは、なんと畳約36枚分! およそ60㎡!
60㎡というと、マンションの間取りなら、1LDKや、小さめの2LDKくらいはありそうです。
こんなに大きな石をどう運んだのかも気になりますね。
石垣の石がどう運ばれたのか? については別の記事でご紹介します。
天下普請のお城では、大名たちが自身の担当エリアに巨石を組み込んで自己アピールしていたとも言われています。
特に大阪城にはこんな巨石がごろごろあって驚きですよ。
鬼門除けや邪気払いに使われたという説もありますが、鏡石は、昔の人の想いや遊び心が感じられる魅力的な見どころです。
ご自分の目で、この大きさを味わってみましょう。鏡石の写真を撮る時は、大きさが比較できるので、人物も一緒に撮ることをおすすめします!
◆鏡石が見られるオススメのお城:上田城・名古屋城・大阪城
見どころ5・転用石(てんようせき)
転用石とは、他の目的で使われていた石材を、石垣に転用したもののことです。
転用石として多いのは、石仏や墓石で、福知山城の天守台が代表例です。
ええ?!石仏とか墓石まで石垣にしてたの? 罰当たりでは…ないのかなぁ。
その他に、姫路城には石臼や石棺が使われています。
また、豊臣時代の大坂城では近くにある難波宮(なにわのみや:飛鳥・奈良時代の古代宮殿)の礎石も使われているそうですよ。
石垣の中に隠された転用石を、ぜひ探してみてくださいね。
◆転用石が見られるオススメのお城:福知山城・大和郡山城・姫路城
まとめ
石垣の見どころポイントを5つご紹介しました!
- 算木積み:石垣の隅石の積み方
- 矢穴:石を割るために使われた跡
- 石垣の刻印:石垣に刻まれた大名家や石工たちの目印
- 鏡石:鬼門除けや邪気払い、権力の象徴として組み込まれた巨石
- 転用石:ほかの石材を石垣にしているもの
いかがでしたでしょうか?
石垣って一見地味な存在ですが、見どころはたくさんあります。本当に奥が深いです。
細かなディテールにも注目して、お城観光をもっと楽しみましょう。
家族や友だちにも教えてあげてくださいね!
ぜひお城で、こんな石垣を探してみてください! これで、石垣しかないお城も楽しめますね。
では、また!