二条城の楽しみ方|注目したい見どころ3選

こちらのページでは、二条城(京都府)の見どころを厳選してご紹介しています。

時間がないときでも、この必見ポイントを押さえれば二条城の魅力を網羅できます。お城を訪問する前にぜひチェックしてくださいね。

二条城
唐門

二条城は、徳川幕府のはじまりと終わりを象徴するお城です。

世界遺産で国宝の二の丸御殿は、3代将軍・家光の時代に、後水尾天皇の二条城行幸のために改修されました。

そんな二条城で注目したいポイントと楽しみ方をご紹介します!

見どころ1・世界遺産で国宝の二の丸御殿

二条城
二の丸御殿

二条城と言えば、やはり「二の丸御殿」は外せません!

二条城の二の丸御殿は、全国にたった4つだけ現存している貴重な御殿のひとつです。

徳川の城であり、後水尾天皇の行幸のために改修された二条城ですから、現存する御殿の中でも、二の丸御殿は抜きん出た美しさがあります。

御殿に行ったときには、ぜひ①障壁画②天井③欄間を中心に鑑賞してみてください。

部屋の用途や格式によって、細かな装飾に違いがあってとても面白いのです。

二条城の二の丸御殿にあるのは「表」の部分だけで「奥」の部分はありません。

それでも部屋数は33室、およそ800畳もの広さなのですから驚かされます。

遠侍・式台・大広間・蘇鉄の間・黒書院・白書院の6棟の殿舎が国宝に指定されていて、南東から北西にかけて雁行形に立ち並び、二の丸御殿を形成しています。

御殿の、部屋の壁面を彩る障壁画は、江戸時代初期の代表的な画家・狩野探幽(かのう たんゆう)とその一派によって描かれました。

「遠侍(とおざむらい)」の虎の絵や、城主と謁見する格式の高い「大広間」の雄大な松の絵によって、徳川家の権力と繁栄を表現しているかのようです。

二の丸御殿にある障壁画は、実物ではなく保存のために複製したものだと知っていますか?

障壁画の「実物」が展示されているのは、城内にある「二条城障壁画 展示収蔵館」です。

別途料金(100円)ですが、ぜひ立ち寄って欲しいおすすめのスポットです。

障壁画は、保存のためにガラスケースの中に入っています。

その前には小さな畳敷きのスペースがありますので、ぜひ靴をぬいで正座をして見てみましょう。

江戸時代の大名たちが眺めた障壁画を、同じ目の高さで眺められます。

障壁画は、座った状態で眺めることを前提に描かれていますので、当時の絵師たちが理想とする高さで眺めて鑑賞するといいでしょう。

展示内容が時期により変わります。こちらのサイトでご確認ください。

「大広間一の間」では、「二重折上格天井(にじゅうおりあげごうてんじょう)」という、天井が二段階に高くなる最上級の格式の天井を見ることができますので、ぜひチェックしてください!

「大広間 三の間」の欄間は、厚さ35cmのヒノキの板を両側から加工して透し彫りにしています。

表裏2つの作品が彫られているにも関わらず、どちら側から見ても片側の絵に影響しない高い技術力に圧倒されることでしょう。

柱や扉に付けられた「釘隠し」も、徳川家の御殿らしく凝った装飾がされています。

ぜひ注目してください!

二条城
二条城 二の丸御殿・車寄の欄間彫刻

二の丸御殿の内部は写真撮影ができませんので、障壁画などの貴重な写真は残せません。

上の画像の欄間彫刻は、二の丸御殿に入る車寄の入り口の真上にあるもの。

外部にあるので色あせていますが、これも貴重な家光の時代につくられたものです。

ぜひ忘れずに写真に収めておきましょう!

見どころ2・戦略的なつくりの本丸エリア

二条城というと、どうしても二の丸御殿に目が行きがちです。

二の丸御殿を見て庭園を眺めたら、次の観光地へ向かう方も多いかもしれません。

けれど「城郭」としての軍事的な構造を見たいなら、外せないのが「本丸」エリアです。

本丸には天守台もありますよ!

二条城
本丸櫓門

本丸の入り口に建つのがこの「本丸櫓門(ほんまるやぐらもん)」

正面から見るとわかりにくいですが、門の上に建物が乗る2階建の構造をしています。

戦いのときには木橋を落とし、敵の侵入を防ぐこともできます。

正面の扉は、銅板で覆われていて、経年劣化により化学反応を起こして緑青色になったもの。

お城の門は、鉄がよく使われるのですが、銅を採用することでより強固な防御設備にしています。

二条城
本丸の内堀脇にある土塁

内堀の脇には土塁もあります。

そして本丸を取り囲む水堀は、5mを超える深さがあるそうです。

堀と土塁とダブルで防御するほど、やはり本丸は二条城にとって重要な場所なのです。

二条城
本丸 枡形

本丸櫓門を抜けるとそこは「枡形」という、四方を囲まれたスペースにたどり着きます。

もし鉄壁の門を押し破ったとしても、この枡形に入ってしまうとまさに「袋のネズミ」状態。

四方八方から鉄砲や矢の集中攻撃にさらされることでしょう。

天守台に向かう途中には、明治時代に桂宮御殿を移築してつくられた「本丸御殿」があります。

本丸御殿は耐震補強対策がなされていないため、入ることはできません。(現在修理中です)

二条城
天守台

こちらが全国のお城で唯一天皇が登ったとされる、二条城の天守台です。

ここには、伏見城から移築された5重6階の天守が建っていました。

二条城
天守台外観(奥に見えるもの)

天守台の石垣(18m)と天守の高さ(26m)を合わせると44mもの高さで、だいたい11階建のマンションに相当します。

天守は江戸時代の中期に落雷によって焼失してしまいましたが、もし今でも天守があったなら、景観のために高さ制限がある京都ですから、四方から天守がよく見えたことでしょう。

二条城
天守台からの眺め(天守台の石垣が欠けているような部分が「笠石銃眼」)

天守台には「笠石銃眼(かさいしじゅうがん)」という最新式の鉄砲狭間を備えています。

この笠石銃眼は、江戸城(東京都)・二条城(京都府)・大阪城(大阪府)・岡山城(岡山県)の4つのお城にしかない貴重なものです。

↓防御の仕組みについて詳しくはこちら↓

二条城
土蔵

本丸から西側に出ると2つの土蔵があります。米蔵や武器庫として使われました。

現存しているのは3つですが、江戸時代には10棟もあったそうです。

当時は本丸の中にも土蔵や井戸があったので、万が一に備えた篭城の設備だと考えられます。

戦略的なお城のしくみがたっぷり詰まった本丸エリアは必見です!

見どころ3・四季折々に楽しめる3つの庭園

二条城にはそれぞれの歴史をもつ3つの庭園があります。

二の丸庭園

二条城
二の丸庭園

「二の丸庭園」は、池の中央に蓬莱島・左右に鶴亀の島を配した、書院造りの庭園です。

書院造り庭園とは、武家の住居と一体になった庭園形式のこと。

後水尾天皇の行幸のため二の丸御殿を大改修した寛永3年(1626)に、この庭園もあわせて改修されました。

江戸時代初期の有名な作庭家・小堀遠州(こぼり えんしゅう)がつくった美しい庭です。

二の丸御殿の大広間・黒書院・そしてかつて後水尾天皇のために建てられた御幸御殿の三方向から眺められるように設計された庭で、「三方正面の庭」と言われます。

御幸御殿だった場所には立ち入れないので、ぜひ大広間と黒書院からの眺めは見比べて欲しいところです。

二の丸庭園で注目したいのが、「蘇鉄(そてつ)」です。

二条城
蘇鉄(冬)

蘇鉄は南国の植物なので、やはり寒さに弱い植物。

二条城では、11月下旬頃からこのように蘇鉄に「こも」やワラを巻いて、防寒対策をしています。

受け継がれながら続く、この時期にしか見れない冬の風物詩も、ぜひご覧くださいね。

本丸庭園

二条城
天守台から眺める本丸御殿と本丸庭園

桂宮離宮を移築した本丸御殿の前に広がるのが「本丸庭園」です。

明治天皇の行幸の際に、枯山水の庭園から大改修したもので、明治29年(1896)に完成しました。

緑の芝生と曲線を描く通路のコントラストが美しい庭園です。

清流園

二条城
清流園

「清流園」は、昭和40年(1965)に造られた、和洋折衷庭園です。

清流園は、江戸初期の豪商・角倉了以(すみのくら りょうい)の邸宅から移した800個の庭石と、全国から集められた名石300個を使って造られています。

清流園の中には、こちらも角倉了以の邸宅から移築した歴史的建物が「香雲亭」として建ちます。

香雲亭は通常非公開ですが、香雲亭の中でお食事ができるスペシャルイベントが不定期で開催されます。

二条城の公式サイトをチェックしてみてくださいね。

2023年に開催されたイベントの情報です

まとめ

二条城の必見ポイント

  • 世界遺産で国宝の二の丸御殿
  • 戦略的なつくりの本丸エリア
  • 四季折々に楽しめる3つの庭園

いかがでしたでしょうか?

二の丸御殿だけではない、二条城の魅力を知っていただけると嬉しいです!

二条城
二の丸御殿

二条城は、明治時代に皇室の別邸「二条離宮」になりました。

そのため二の丸御殿をはじめ、あちこちに天皇家をあらわす菊の御紋を目にします。

2013年には、唐門の改修時に、菊の御紋の下から葵の紋が出てきて、徳川家の家紋の上に天皇家の菊の御紋の金具を取り付けていたことがわかりました。

京都の御所の近くにある二条城だったから、離宮として活用されたのかもしれません。

二条離宮になったからこそ、二条城はこんなにも美しい姿のまま残ったのかもしれません。

京都の御所の近くにある二条城だったから、戦争の被害にも遭わなかったのかもしれません。

お城を深く知るようになって思うことは、こんな奇跡のような偶然が、確かにあるということ。

〇〇があったら、〇〇だったらいいのにと、満たされない欠けた部分ばかりを人は見てしまう傾向がありますが、今あるものに感謝して、文化財を大切にしたい、未来に継承したいと強く思います。

では、また!

この記事を書いた人

お城カタリスト