大阪歴史博物館で開催された『大坂城石垣と石切丁場シンポジウム』に参加しました。
「世界に誇る屈強な大坂城石垣と瀬戸内の石切丁場の物語」と題して、大坂城に使われた石垣の石切丁場だった小豆島町と西宮市教育委員会の主催で開催されたものです。
大坂城石垣と石切丁場シンポジウム
このシンポジウムでは、香川県の小豆島町・丸亀市、兵庫県の西宮市の専門家たちが集まって、石切丁場に関する研究成果を発表します。
また、瀬戸内地域の石材が集結した大坂城石垣についても講演があります。
国指定史跡の「小豆島の岩谷石切丁場跡」や「西宮市の東六甲石丁場跡」だけでなく、瀬戸内地域には、石切丁場の跡がいくつも点在しているそう。
そして、それらの丁場跡と、その石材が集結した大坂城石垣には「世界遺産になる歴史的価値があるのでは?」ということで、小豆島町では2013年から「世界遺産化対策室」を設置して推進活動をしているそうです。
分厚い資料集をいただいて、わくわくした気分の中シンポジウムがはじまりました。
滋賀県立大学の中井 均先生の基調講演をはじめ、小豆島の現役の石工さんのお話や、西宮市の学芸員さんのお話、丸亀市の丸亀城石の会の方のお話や、大坂城の発掘調査をされている大阪府職員のお話を拝聴し、さまざまな角度の研究活動について学ぶことができました。
講演のみなさまのフリーディスカッションもあり、充実した内容の濃ーい3時間半でした。
研究や活動の内容はそれぞれ違いますが、「貴重な史跡を残したい!」・「技術を継承したい!」という熱い思いや使命感は、先生方に共通している思いだと感じました。
シンポジウムを踏まえて、大阪城を歩く
シンポジウムのあとは、中井先生が「最強の城」と評価された大阪城を堪能します。
刻印石がたくさん残る「隠し曲輪」は、私が主催するイベント「お城deコラボ」でも会場として使う穴場スポットです。
ここは刻印石だけでなく、石垣がどうやって積まれているのかも目にすることができる場所。
その隠し曲輪の中で今回注目したのは、小豆島の石工さんが「最高の技術」と評した「すだれ仕上げ」の石垣です。すだれ仕上げは、当時の石工さんがノミでひとつひとつ丁寧に彫りあげた、まさに手の込んだ「石垣のお化粧」。
この加工を目にして、全国の大名たちは、徳川幕府に命令されて天下普請を行ったのではなく、自分たちの最高の技術を提供したいという思いや心意気があったのだと実感しました。
シンポジウムに参加して思うこと
私が大阪城でイベントを定期的に開催しているのは、地元の方をはじめ、たくさんの方に身近な大阪城の素晴らしさを実感して欲しいから。
ほかのお城を案内したり、セミナーを行うのも、楽しみ方を知って面白さに気づいたなら、地元にはこんなに立派で歴史あるお城があるのかと「地元愛」を再確認できると思うからです。
シンポジウムに参加して、史跡や技術を継承したいと願う先生方の熱い思いに感化され、私もお城を未来に残せるよう、できることを精一杯していこうと気持ちを新たにしました。