
新年早々、悲しいニュースが続きました。
現存する天守や建造物がある複数のお城で「ひっかき傷」の被害が相次いだのです。
木製の窓枠や壁など被害の場所は様々ですが、細い線状の傷が確認されています。
「ひっかき傷」被害の概要
- 松山城(愛媛県):計17カ所
1月4日発表・国指定重要文化財の現存天守に6カ所、内門や小天守など5つの復興建造物に11カ所に傷を確認。うち1カ所には文字もあった。
- 高知城(高知県):計27カ所
1月6日発表・昨年の営業最終日(12月25日)の閉館後に6カ所発見。1月1日の営業再開から5日までの間にさらに見つかる。現存天守・本丸御殿の懐徳館など4つの国指定重要文化財で24カ所・トイレ3カ所に傷を確認。
- 岡山城(岡山県):計30カ所
1月18日発表・復元天守の地下1階から地上6階までの全フロアで計23カ所。国指定重要文化財の月見櫓の扉と壁に3カ所など。うち1カ所は1mの傷も。
- 福山城(広島県):計9カ所
1月19日発表・国指定重要文化財の筋鉄御門に7カ所、市指定重要文化財の鐘櫓に2カ所。これにより本丸への立ち入りを当面禁止している。

ニュースを目にしたときは、
どうしてこんなことが起こるの!
天守だけでなく櫓や門だって、城の建造物がどれほど価値あるものか分からないの?
江戸時代以前から現存してるってだけでなく、それが補修されて、守られ、継承されてきた意味が分からないの?!
と、とても悲しく憤りを感じました。
けれど冷静になると「実際、そうなのかもしれない」という気持ちが大きくなりました。
歴史あるものにどれほどの価値があるかということ。
今だけでなく100年も200年も前から補修を繰り返して継承した意味。
神社やお寺のように神様や仏様がいなくても、お城が守り続けられている奇跡。
そんな、お城好きの人なら当たり前に理解できることが、理解できないのかもしれない。
その奇跡とも言えるお城の価値に気づいていないのかもしれない。

お城を未来に継承したい、残したい。
そのためにお城ファンを増やしたい、底上げしていきたい。
そう思って活動している私です。
私は、お城は未来の子どもたちに継承したい「日本の宝」だと思っています。
現存だから貴重なのではなく、どんな天守にも建物にも人々の想いが詰まっています。
天守や建物もない、山の中にひっそりと残る土のお城でも、人が心を寄せなければ、荒れ果ててなくなってしまうかもしれません。
お城は人の心のつながりによって、今に継承されていると思うのです。
お城なんてと、他人事と思わないでください。
今、私が日本人でいるということは、お城の時代の人々とも繋がっているということです。
もしかしたら、私のご先祖さまは石垣の石を運んでいたかもしれない。そう強く思うのです。

今回のひっかき傷の被害で、その「日本の宝」であるお城の存在に、まだ気づいていない人がいることを改めて認識しました。
もっともっとお城の魅力と楽しみ方を届けたい。
こんなにも面白いお城の世界を、日本中の人に、世界中の人に知って欲しい。
そんな想いが、より大きく、より強くなりました。
お城ファンがどうしてこんなにお城に夢中になるのか、お城の何が面白いのか、その目で確かめに来てください。
お城好きがお城を語るオンラインイベントをしています。
では、また!