観光におすすめ!オールシーズン楽しめる 現存する4つの御殿

川越城

暑い夏や寒い冬でも、雨の日でも、オールシーズン楽しめる観光におすすめのお城があります!

それは「御殿」です。

御殿とは、城主の住まいであり、城主が政治を行う城内でも特に重要な場所。

建物の中なので、雨でも暑い日でも寒い日の観光にも、御殿なら美術館にいるかのように楽しめます。

御殿の楽しみ方を確認して、さあ行ってみましょう!

↓詳しくはこちらの記事をご覧ください↓

現存する4つの御殿

全国には、現存する御殿が4つあります。

  1. 川越城(埼玉県)の本丸御殿
  2. 高知城(高知県)の本丸御殿
  3. 掛川城(静岡県)の二の丸御殿
  4. 二条城(京都府)の二の丸御殿

御殿の前についている「本丸」や「二の丸」は、御殿が建っているお城の区画(曲輪(くるわ)と言います)の名称です。

本丸に建てられた御殿なので「本丸御殿」、二の丸に建てられた御殿なので「二の丸御殿」と言います。

一般的に、お城の中心的なエリアは本丸。その外側にあるのが二の丸、その外側にあるのが三の丸です。

曲輪について、詳しくは別の記事でご紹介します。

御殿は、中心エリアの本丸にあることが多いですが、必ず本丸にあるとは限りません。

敷地の広さや使い勝手など、それぞれのお城の事情により、御殿が建てられる場所は違っていました。

また、御殿を1ヶ所だけではなく、複数のエリアに建てたお城もあります。

野口

どうしてこのお城は二の丸に御殿があるんだろう?あったんだろう? そんな風に考えながらお城を歩くのも楽しいものです。

では、現存する御殿を詳しくみていきましょう。

川越城の本丸御殿

川越城
川越城 本丸御殿・玄関

川越城は、江戸城の「搦手(からめて)」と言われるほど、幕府にとって重要な場所に建つお城でした。

そのため江戸時代には、徳川家の譜代大名が代々城主となります。

川越城
川越城 本丸御殿・内部 台場の防衛をどうするか話し合っているようです

「知恵伊豆」と呼ばれた知恵者の松平信綱が藩主の時代に拡張改修工事がなされ、現在の川越城と城下町の基礎ができました。

本丸御殿の玄関と広間が現存しています。

戦後、本丸御殿の大広間は、中学校の屋内運動場に使われていた歴史があります。

そのため、天井にはバレーボールの跡が残っているんですよ。

川越は、今でも「小江戸」と呼ばれ、城下町の風情を楽しめるオススメの観光地です。

高知城の本丸御殿

高知城
高知城の天守と本丸御殿(右)

高知城は、司馬遼太郎 原作の大河ドラマ『功名が辻』の、山内一豊が築いたお城です。

大河ドラマのロケは、この本丸御殿で行われました。

ドラマを見返してみると面白いかもしれませんね。

高知城は、現存の本丸御殿だけでなく、現存天守のあるお城のひとつです。

天守と本丸御殿が現存しているのは、全国でもここ高知城だけという、非常に貴重なもの。

野口

本丸エリアが江戸時代の完全な姿のままに残るなんて、とても奇跡的なことです!

高知城
高知城 本丸御殿・内部 欄間のデザインが素敵!

ひとくくりに御殿と言っても、城主が誰かによって大きく違いがあるのが御殿です。

基本的な構造は同じようなものですが、城主の家格があった江戸時代では、城主の違いによってその規模やきらびやかな豪華さに大きな差異が生じます。

野口

「誰が城主だったのか」は、御殿を鑑賞する上で押さえておきたい基礎知識です。

掛川城の二の丸御殿

掛川城
掛川城 二の丸御殿

掛川城は、高知城の城主だった山内一豊が、高知城の前に居城としていたお城です。

現存する高知城の天守は、掛川城にあった天守を模してつくられたと言われています。

掛川城の天守は、安政元年(1854)の地震後に取り壊されますが、平成6年(1994)に高知城の天守を参考に、木造で再建されました。

城子さん

高知城にマネされた天守なのに。マネした高知城の天守を真似てつくるなんて面白い!

掛川城
掛川城 二の丸御殿・内部

現存する御殿は、江戸時代後期に再建されたもの。

玄関や御書院など内部もよく見ておきたいものですね。

ぜひ天守の最上階から御殿を眺めて、天守と御殿の距離感を感じてみてください。

二条城の二の丸御殿

二条城
二条城 二の丸御殿・車寄

「御殿」と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、二条城の二の丸御殿ではないでしょうか?

世界遺産で国宝の二の丸御殿は、3代将軍:家光の時代に、後水尾天皇の二条城行幸のために改修された建物です。

遠侍・式台・大広間・蘇鉄の間・黒書院・白書院の6棟の殿舎が、南東から北西にかけて階段状に立ち並んで、二の丸御殿を形成しています。

このような建物の形状を、鳥の雁が連なって飛んでいく姿に似ていることから「雁行形(がんこうがた)」と言います。

二の丸御殿にあるのは「表」の部分だけで「奥」の部分はありません。

それでも部屋数は33室、およそ800畳もの広さなのですから驚きです。

  

実は、二の丸御殿にある障壁画は、実物ではなく保存のために複製したもの。

二の丸御殿の障壁画の「現物」が展示されているのは、城内にある「二条城障壁画 展示収蔵館」です。

別途料金(100円)がかかりますが、ぜひ立ち寄りたいおすすめのスポットです。

展示内容が時期により変わります。こちらのサイトでご確認ください。

この建造物や内部の装飾が、400年の時間を超えて残っているのは、奇跡としか言いようがありません。

まとめ

現存する4つの御殿をご紹介しました。

  1. 川越城(埼玉県)の本丸御殿
  2. 高知城(高知県)の本丸御殿
  3. 掛川城(静岡県)の二の丸御殿
  4. 二条城(京都府)の二の丸御殿

現存の御殿だけでなく、再建された御殿もありますので、ぜひ行ってみてはいかがでしょう?

名古屋城 本丸御殿
名古屋城(愛知県)本丸御殿・玄関

名古屋城の本丸御殿は、9年の歳月を経て平成30年に完全復元されました。

その内部の装飾は、現代の芸術家や匠たちによって忠実に再現されています。

そのおかげで私たちは、まるで江戸時代の完成当時のような、きらびやかさと鮮やかな色合いをこの目で見ることができるのです。

現存する二条城二の丸御殿と見比べると、400年の時間の流れをタイムマシンのように体感できる面白さです。

御殿で注目する「障子」も「天井」も「欄間」も、今の日本家屋に残る日本の伝統文化のひとつです。

その最骨頂の作品を愛でに、御殿に行ってみるのはいかがでしょう。

まるで美術館のような御殿では、日本文化の美しさと技術力の高さに感動する、豊かな時間が過ごせること間違いありません。

では、また!

この記事を書いた人

お城カタリスト