安土城は、天下統一の拠点として織田信長が建てた、日本で初めての天主を備えたお城です。
それまで戦いの砦を目的につくられていたお城を、信長は全国を支配する天下人のシンボルとして築きました。
安土城は、お城の概念を大転換させるきっかけになった近世城郭の原点のお城であり、信長の城づくりの集大成と言えるお城です。
まずは「予習」しましょう
安土城の天主が完成した天正7年(1579)には、天主をはじめ御殿や門などたくさんの建物がありましたが、現在は建物の基礎だった石垣だけが残ります。
このような石垣のお城を楽しむには、まず資料館などの施設でイメージを膨らませてから、お城に行くことをおすすめします。
施設の予習で想像を膨らませて……安土城にいざ出陣です!
お城訪問レポート①
安土城は、JR安土駅から、徒歩で20分ほど。
駅前にはレンタサイクルもあるので、気持ちのいい天気の日には利用するのもいいかも。
駐車場は入山口前に、広い無料駐車場があります。
安土城内にはトイレや自販機はないので、入山前にトイレを済ませて、飲み物を持参することをおすすめします。
駐車場と入山口の間のエリアには、立派な石垣づくりの大手口(おおてぐち)があります。
約100mにわたって横に伸びた石垣で固められ、築城当時は立派な4つの門があったそう。
それは室町時代の武家儀礼を踏まえて、身分ごとに通る門が違っていたからだとか。
西側の郭(くるわ)には、かまど跡もありました。
ぜひこちらのエリアの見学も、お見逃しなく!
安土城の入山料は、大人ひとり700円。
今回は、摠見寺のお抹茶を目当てに、摠見寺の特別参拝とのセット券にしました(1,200円)。
入山受付の小屋の裏手には、このような杖が用意されていました。
こんな思いやりの杖があるお城は、登るのが大変かも……と小さく覚悟しましょう。
がんばったご褒美は、必ず登った先に待っていてくれます。
そして、思いやりの杖を使って登ると、とっても楽なのでおすすめします。
入山すると目の前には、まっすぐな大手道(おおてみち)!
右も左も石垣がたくさん! 石垣好きなので早くも大興奮です。
この大手道の道幅は、約6m。
攻められやすいつくりなので、およそ180mにもわたって直線的に通っている道だなんて、それまでの戦いのためのお城ではありえないことです。
この大手道からも革新的な信長の城づくりを伺うことができます。
その大手道の両側には家臣たちの家があったと伝わる場所が、ずらりと並んでいます。
大手道の左手は、羽柴秀吉の館跡だったと伝わるエリアです。
下の写真は安土城にあった「伝 羽柴秀吉邸」の復元イメージ。すごい立派です!
上下2段のエリアにわかれたとても広い敷地で、発掘調査によると、大きなお屋敷や馬が6頭飼えた厩(うまや)もあったそう。
入り口には大きな櫓門も建っていて、この邸跡からは金箔瓦も出土しているそうです。
大手道を挟んだ「伝 羽柴秀吉邸跡」の向かい側は、前田利家の館跡と伝わるところ。
これら家臣たちの館跡は、実際のところ、誰の館だったのか正確には判明していないそう。
それでも、金箔瓦が出土していることからわかるように、信長から重用された人物たちだったことは間違いないでしょう。
秀吉と利家で、安土城の正面玄関を守っていたのね。ご近所さんのご縁で、利家は豊臣政権の五大老になったのかしら?
なーんて想像するのも楽しい。想像するのは、自由ですからね。
左手の石、わかるかな?
築城を急いだからなのかな?
安土城築城のときに石材として使われた石仏です。
本来は石を掘り出し加工して石垣にするのですが、すでに加工されている石仏を使うことで手間を省いたと言われています。
このような石は「転用石(てんようせき)」と呼ばれ、福知山城や和歌山城などにもあります。
少し先を登ったところ。でもまだまっすぐな大手道が続いています。
次は、写真の右手にかかる橋を渡って、摠見寺を拝観します。
摠見寺の本堂があるこの場所は、徳川家康の館跡だったと伝わるところです。
秀吉と家康もご近所さんだったのね!
美しい襖絵を眺め、安土城で発掘された金箔瓦などの展示を観ました。
特別拝観料に含まれている、お抹茶でほっと一息。
また大手道へ戻り、先に進みます。まっすぐな道もやっとカーブしてきました。
いくつかのカーブを曲がり、少しずつ登っていきます。ここががんばりどころ!
昔の摠見寺方面との分かれ道を右手に、天主台の方向に進みます。
なにやら大きい石垣が見えてきた! 黒金門(くろがねもん)だ!
こちらは黒金門と伝わる門の内部。
出入り口である虎口(こぐち)は、お城の防衛を考える上で最も重要なポイントになります。
特にこの黒金門は、安土城の中心部に入るためのいちばん重要な場所にある虎口です。
そのため非常に守りの固い「枡形(ますがた)」という最強のつくりをしています。
門をひとつ突破しても内側にもうひとつ門があり、同時に、虎口にまっすぐ突入できずに何度も折れ曲がりながら中へ進むつくりになっています。
大手門から黒金門まで、写真を撮りながらゆっくり歩いて30分くらい。
今回は、摠見寺の見学とお抹茶も楽しんだので50分ほどかかりました。
黒金門を抜けるといよいよ二の丸に突入です! 続きは次の記事でお楽しみください。